ナマズ

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2011年3月11日の東日本大震災の後、衝動的に作りました。想像もしていなかった事態を目の当たりにして、その衝撃と自分のなかの鬱々した感情をどうしても折り紙で表現したくなったのです。地震だから「なまず」というのは実に安直な発想で、これしか思いつかなかったのは情けない話です。が、この作品を見るたびに、折るたびに、震災のことを思い出す。そんな作品として自分のレパートリーに存在していればいいかなと思っています。

造形上の特徴はいくつかあり、「一」の字をした口、左右に離れた目、そして長いヒゲ。ヒゲはダイア型では十分な長さが出ないと思ったため、ブック型の配置をとりましたが、ヒゲをカドから出さなかったのがポイント。これでバランスがとれ、目を折り出すこともできました。カド配置自体は座布団ですから単純なもんです。

背ビレは左右のカドを持ってきて合わせるという「ニシキゴイ」で用いた手法(魚のレパートリーが増えて、このあたりのノウハウはかなり蓄積してきつつあります)、昔は魚は背ビレの折り出しが一番難しいと思ってましたが、いまは尾ヒレが一番難しいと思ってます。今までいくつか魚を折りましたが、満足のいくものができません。本作に関しては、何もないところからよくこれだけひねり出せたものだぁと思ってます。

◇タイトルナマズ
◇創 作2011年3月
◇方 式不切正方形一枚折
◇折 図「第20回折紙探偵団コンベンション折図集」掲載(お問合せはこちらへ)
◇用 紙カラピス
◇難易度★★★☆